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2010.05.31
第12回 遺言・相続問題 ≪その1≫【 兄弟間での相続問題を例に考える 】

弁護士の澤田です。

人間として生まれてきた以上、やがて誰にでも発生する法律問題があります。
遺言・相続の問題です。「我が家には大きな財産が無いから関係ない」とか、
「うちの子供たちは仲が良いから、相続争いなど起こらない」そのように
お考えの方も、たくさんいらっしゃると思います。しかしながら、
弁護士として遺言作成や遺産相続の問題を数多く取り扱ってきましたが、
非常に複雑で残念な親族間での争いが起こってしまうことがよくあります。

私が修習生だった頃の話ですが、家庭裁判所の近くの路上で兄弟と
おぼしき50代くらいの男女が、つかみ合いのケンカをしていました。
「ウソばっかり言うなー」という大声が聞こえてきたりもしました。
どうやら、相続を巡る裁判のなかで、お互いの気持ちを主張し合った
後のようでした。ドラマなどに登場する「骨肉の争い」のシーンも
真っ青の出来事でした。

「遺言」が持つ役割というのは、「自分の財産を、自分が亡くなった後に、
どのように分けるか」ということを、相続人(遺産を相続する人)に
対して指定するというものです。遺言が残されていなかった場合は、
「法定相続分」といって、法律で定められた割合に従って分けられます。
ちなみに、法律によって定められた「遺産を相続する権利を有する人」を、
「法定相続人」といいます。

▼遺言・相続の専門用語については「用語集」をご覧ください
http://www.isansouzoku-center.com/glossary/index.html

先にお話ししたような相続問題の原因となるのは、もちろん「財産」です。
ところが、ひとことで財産といっても、貯金、土地、建物、株式など色々と
ありますね。例えば、親御さんの財産を、残された兄弟で相続するとします。
親御さんの遺言がなかった場合には、「兄弟で等分に分けなさい」
というふうに法律で決められています。

ところが、等分に分けなさいといわれても、実際は上手くいきません。
不動産でしたら、時価がいくらか?相続税の評価額は?
そもそも売れるのか?といった問題もあります。
不動産は所有しているだけで税金がかかることもありますから、
必ずしもプラスの財産であるとはいえない部分もあります。

したがって、財産は「○○○万円」とおおよその金額が分かっていても、
それはあくまでも計算上の数字ということでしかありません。たとえば、
財産は「現金1,000万円のみ」ということであれば、等分に分けることは
非常に簡単なのですが、その他に色々な財産があった場合、そうはいきません。
そのような場合に遺言書があるととても助かります。
「息子の○○に預貯金を相続させる」「娘の○○に自宅の土地を相続させる」
などと書いてあれば、スムーズに財産を相続してもらうことができますね。

兄弟間での相続問題の多くは、「兄や姉は可愛がられたのに、自分は冷遇
されていた」とか、「兄は家を建てるときに資金の援助を受けていた」
「長女は結婚する際に持参金をもらったが、次女の私はもらっていない...」
といった、これまでに起こった過去の事柄を引き合いに出し、自分の相続分
を多くして欲しいといった主張がなされたりすることで起こります。

このようなケースは、あくまでも相続人の気持ちの問題ということになって
しまいますので、裁判の場で立証できないこともあります。
「私だけが亡くなった父の介護をしていた」といった主張も同様です。
介護を受けていたお父様が、そのことを本当に感謝されていたとしても、
その気持ちを表現するものとして、具体的な金額を遺言の中に残して
おかない限り、そのような主張はなかなか認められません。

被相続人の方の財産形成に貢献したといったようなことが、確かに
認められるような場合には、「寄与分」として少し多めに財産を分けて
もらうこともできますが、それを証明して認めてもらうためには、
大変な労力が必要になります。そのようなことを考えると、
被相続人(遺産を残す人)となる方は、残された家族の将来を考えて、
きちんと遺言書を残しておくべきでしょう。

▼相続に関する「トラブルの事例集」はこちら
http://www.isansouzoku-center.com/succession/example.html

▼あなたは大丈夫?相続問題の「チェックリスト」はこちら
http://www.isansouzoku-center.com/succession/index.html

次回も、暮らしに役立つ身近な法律の話題をお届けします。

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