遺言書の基礎知識 | みお綜合法律事務所(大阪・梅田)
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今回のテーマ

遺言書の基礎知識

「遺言書を作るのは特別な人だけ」と思っていませんか?
実は近年、遺言書を作成する人は年々増加しており、令和6年には公正証書遺言の作成件数が12万件を超えました。
背景には「自分の意思で財産の行き先を決めたい」「家族に迷惑をかけたくない」という思いがあります。
今回はそんな遺言書の種類や作成方法、注意点について、わかりやすく解説します。

  • 男性

    澤田先生、今回はどんなテーマでお話しいただけるんでしょうか?

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    今回は「遺言書の基礎知識」についてお届けしたいと思います。
    最近は遺言書を作る人が増えています。
    日本公証人連合会によると、令和6年には12万8,378件の公正証書遺言が作成されており、毎年およそ11万~12万件前後の遺言が作られています。

  • 男性

    前の年が11万8,981件ですから、約1万件も増えているんですね!

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    そうなんです。遺言には公証人が作る「公正証書遺言」のほか、自分で書く「自筆証書遺言」もあります。
    自筆証書遺言は自宅で保管するほか、法務局に預けることもできます。
    自筆証書遺言書保管制度は令和2年7月に始まり、2024年7月時点で79,128件が保管されています。
    1年に約2万件ずつ利用されており、少しずつ広がっていますね。

  • 男性

    遺言書は思い立ったときにすぐ書けるものなんですか?

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    はい、自筆証書遺言なら紙とペンと印鑑(朱肉)があれば、いつでも作れます。
    「遺言書」とタイトルをつけ、「誰に何を渡すのか」を書き、日付・署名・押印で完成です。
    たとえば「○○に全財産を相続させる」といった書き方でも大丈夫です。

  • 男性

    私でも書けそうです!注意点はありますか?

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    全部手書きで書く必要があります。
    封筒に入れるかどうかは自由ですが、改ざんや紛失を防ぐため、封をしておくのがおすすめです。
    なお、自筆証書遺言を発見した人は、家庭裁判所で「検認」の手続きをしなければなりません。
    封がしてある場合は開封せず、そのまま持っていく必要があります。

  • 男性

    その場で開けてはいけないんですね。

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    はい。手軽に作成できる反面、改ざんや隠匿、あるいは誰にも見つけてもらえないというリスクもあります。
    また、亡くなったあとに検認が必要になるなど、手間がかかる面もあります。

  • 男性

    いわゆるデメリットもあるんですね。

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    そうですね。そこで令和2年から始まったのが、法務局で自筆証書遺言を保管する制度です。
    本人確認をして預かってもらえるので、改ざんや紛失の心配がなく、死亡届が受理されると相続人に遺言の存在を自動的に通知してくれる仕組みになっています。

  • 男性

    便利な制度ですね。どんな人が遺言書を作るべきでしょうか?

  • 澤田弁護士
    澤田弁護士

    まず、子どものいないご夫婦やおひとり様は必須です。
    残された方が困ることが多いですし、おひとり様の場合は相続人がいないと国が財産を引き継ぐことになります。
    また、相続人の中に行方不明の人がいるなど、遺言がないと困るケースもあります。
    なにより、自分の財産の行き先を自分の意思で決めることが大切です。

  • 男性

    なるほど。私も自分の財産の行き先は自分で決めたいです。

みおのまとめ

遺言書は「自分の意思で財産の行き先を決める」ための大切な手段です。
形式には公正証書遺言と自筆証書遺言があり、それぞれにメリットと注意点があります。
自筆証書遺言は思い立ったときに作れますが、改ざんや紛失などのリスクがあるため、法務局の保管制度を利用するのが安心です。
この制度を活用すれば、遺言の存在が確実に相続人へ伝わり、トラブル防止にもつながります。
とくに、子どものいないご夫婦やおひとり様の方は、遺言書がないと相続手続きが複雑化しやすいものです。「自分の想いをきちんと伝えたい」「家族に迷惑をかけたくない」という方は、早めに準備を始めましょう。
みお綜合法律事務所では、遺言書の作成から保管制度の利用方法まで丁寧にサポートしています。