今回のテーマ
相続についての基礎知識〜その2〜
相続は「法定相続分通りに分ければ問題ない」と思われがちですが、実際にはそう単純にはいきません。
介護をした家族の貢献(寄与分)、生前贈与(特別受益)、預金の使い込みなど、さまざまな要素が絡み、思わぬ争いに発展することもあります。
特に家業を営む家庭や不動産、非上場株式などを含む場合は、さらに複雑さが増します。
今回は、遺言がない場合に起こりやすいトラブルと、それを防ぐための具体的な対策についてわかりやすく解説します。
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澤田弁護士 先週に引き続き、相続問題の基礎知識その2をお話しします。
前回は、遺言がなかった場合に相続人全員で話し合って決める「遺産分割協議」の基本をお伝えしましたね。 -
全員で話し合って、合意してハンコを押す・・・理屈ではシンプルですが、実際は大変なんですよね?
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澤田弁護士 実際には「連絡が取れない相続人がいる」とか「人数が多い」とか、色々な事情が絡んできます。
こういう時には専門家、特に弁護士に相談するのが安心です。 -
やはり法律のプロに頼るのが確実ですね。ちなみに法定相続分って、どういう割合なんですか?
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澤田弁護士 例えば、配偶者と子どもが2人の場合、配偶者が2分の1、子どもはそれぞれ4分の1ずつになります。
もし子どもが3人なら、残りの2分の1を3人で分けるので、6分の1ずつですね。 -
数字で聞くとわかりやすいですけど、現実には簡単じゃなさそうです。
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澤田弁護士 その通りです。
現金なら計算しやすいですが、不動産や非上場株式のように評価が難しい財産だと、なかなか分けられないんです。 -
確かに、不動産を均等に分けるのは無理ですもんね。
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澤田弁護士 さらに「寄与分」という問題もあります。
たとえば長男が長年親の介護をしてきた場合、「自分は多くもらうべきだ」と主張するんですね。 -
なるほど、頑張った分は報われたいと思う気持ち、わかります。
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澤田弁護士 でも逆に、生前に家の頭金を出してもらったり、学費を多く援助してもらったりしていると「特別受益」として差し引かれることもあります。
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生前にもらった分を加味するっていうことですね。
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澤田弁護士 そして一番厄介なのが「預金の使い込み」です。
判断能力が低下している間に勝手にお金を引き出されていた、なんてケースもあります。 -
それはトラブルになりますね・・・。
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澤田弁護士 通帳を調べると、不自然に大きな引き出しが繰り返されている、というような事例が実際に多くあります。
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相続って、本当に「人間関係」が出ますよね。
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澤田弁護士 おっしゃる通りです。
だからこそ、事前に遺言を作成しておくことがとても大切なんです。 -
元気なうちに対策しておくのが一番ですね。
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澤田弁護士 事業をされている方は、事業承継や法人化を進めることも重要です。
しっかりした計画があれば、相続トラブルを大幅に防げます。
みおのまとめ
特に、家業を支えてきた人や不動産・非上場株を含む資産がある場合には、話し合いはさらに難航します。
だからこそ、被相続人が元気なうちに遺言を準備することが大切です。
遺言書の作成や生前贈与、事業承継など、早めの対策によってトラブルを防ぎ、大切な家族関係を守ることができます。
相続に不安がある方は、ぜひ「みお綜合法律事務所」にご相談ください。