今回のテーマ
遺言書の書き方について
「遺言書を作っておいたほうがいい」と聞いたことはあっても、実際にどんな内容を書けばよいのか、いつ作成すればいいのか迷う方は多いのではないでしょうか。
遺言書がないと、相続人全員で話し合いをしなければ財産の分け方が決まらず、トラブルに発展することも少なくありません。
今回は、遺言書を作ることでどんなメリットがあるのか、法定相続人や相続の割合について、わかりやすく解説します。
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澤田弁護士 今日は、遺言書の作成についてお話しします。
先月、京都府民だよりで遺言書作成講座をご案内したところ、またたく間に全日程が満席となりました。
このコーナーでも、その内容を少しだけお伝えしたいと思います。 -
講座で話す内容をここで聴けるなんてありがたいですね!
改めて、遺言書とはどのようなものなのでしょうか? -
澤田弁護士 遺言書があれば、ご自身の財産について、誰に何をあげるのかを指定することができます。
財産を明示しなくても、「2分の1を誰々に」というように、割合で指定することもできます。 -
遺言書がない場合はどうなるんですか?
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澤田弁護士 遺言書がない場合は、亡くなった方の財産を法律で決められた「法定相続人」が分けることになります。
ポイントは、法定相続人全員が合意しなければ何も進められないということです。
全員で話し合って分け方を決める「遺産分割協議」を行う必要があり、1人でも反対したり、連絡が取れない人がいると進みません。 -
やはり遺言書があった方がスムーズに進みそうですね。
今おっしゃった「法定相続人」とは何ですか? -
澤田弁護士 法定相続人は法律で決まっています。
まず、入籍している配偶者は必ず法定相続人です。
それに加えて、子どもがいれば子ども全員が第1順位の相続人になります。
再婚していて前妻・前夫との間の子どもや、婚姻外の子どもも同じ権利を持ちます。
もし子どもが先に亡くなっていて孫がいる場合は、孫が代わりに相続人となります。 -
子どもがいない場合はどうなりますか?
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澤田弁護士 子どもや孫がいない場合は、第2順位が親です。
親も亡くなっている場合は、第3順位として兄弟姉妹になります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子ども(甥・姪)が代わりに相続人になります。 -
家族が多いほど法定相続人が増えるんですね。
やはり、遺言書で明確にしておくべきだと思いました。
相続では実際にどれぐらいもらえるんでしょうか? -
澤田弁護士 話し合いをするときの基準になるのが「法定相続割合」です。
つまり、遺産全体のうち、どれだけの権利があるかが法律で決まっています。
もちろん、「そんなにいらない」「いりません」というのも自由ですが、主張すればその割合までは認められます。 -
話し合いがうまく進まない場合もありますよね?
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澤田弁護士 話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」で話し合いを続けます。
最終的には裁判所が「誰が何を相続するのか」を決めることになります。
ですから、遺言書を作る前には、まず「誰が法定相続人になるのか」を把握しておくことが大切です。
みおのまとめ
遺言書がない場合、相続人全員が合意しなければ手続きが進まず、トラブルや時間のロスにつながることもあります。
一方、遺言書を残しておけば、財産の分け方を自分の意思で決められるだけでなく、家族への負担を減らすことにもつながります。
また、法定相続人や相続割合は法律で定められており、家族構成によって複雑になることもあります。
「うちの場合はどうなるの?」という疑問を感じたら、専門家に早めに相談するのが安心です。