今回のテーマ
遺言書の書き方について2
「遺言書を作るならどんな内容にすればいいの?」「どんな形式で残すのが正しいの?」
そう悩む方は少なくありません。
せっかく準備をしても、形式が間違っていると遺言書として無効になってしまうこともあります。
今回は、遺言書の種類(自筆証書・公正証書)や、実際に書くときのポイント、注意すべき“遺留分”の考え方について解説します。
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澤田弁護士 今日は、先週に引き続き、遺言書の作成についてお話しします。
前回は、遺言書がなければ法定相続人全員が話し合って分け方を決めなければ何も進まないという話をしました。
今回は、遺言書があればどうなるのかをお話しします。 -
遺言書にはどんな種類があるんですか?
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澤田弁護士 遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
どちらも法的効力は同じですが、複数作成された場合は日付が新しいものが有効です。
自筆証書は自分で作成できる反面、内容があいまいだったり形式を間違えて無効になったりするリスクがあります。
そのため、公正証書遺言の方がおすすめです。
公正証書にしない場合でも、弁護士に内容を確認してもらうと安心です。 -
遺言書にはどんなことを書けばいいのでしょうか?
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澤田弁護士 ご自身の財産を誰にどう分けるのかを書きます。
準備としてまず財産をリストアップし、遺産の総額を把握しておきましょう。
預貯金や有価証券は変動しますが、現時点の額を確認してください。
不動産は、建物なら固定資産税通知書、土地なら国税庁の路線価でおおよその評価を確認できます。 -
財産の配分で注意すべきことはありますか?
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澤田弁護士 誰に何を渡すかは自由ですが、法定相続人(配偶者・子ども・親)には「遺留分」という最低限の取り分があります。
これを侵害するとトラブルの原因になるため、遺留分を考慮して配分を決めることが大切です。
生前贈与をしている場合は、その内容を遺言書に明記しておくとよいでしょう。 -
実際にはどのように書くのがよいですか?
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澤田弁護士 「誰に何を渡すか」を列挙する方法と、「割合で指定する方法」があり、両方を組み合わせても構いません。
例えば、長男には自宅不動産を、長女にはアパートを、預貯金は3分の2を次男に、3分の1を長女にというように書くことができます。
また、仏壇やお墓の管理を行う「祭祀承継者」を指定したり、一部を公益団体などに寄付する「遺贈寄付」をすることも可能です。 -
澤田弁護士 お一人様の遺言などで「姪に全財産の3分の2を、3分の1を公益団体に寄付する」といった内容を書く場合は、必ず「遺言執行者」を指名してください。
遺贈寄付を検討している方は、円滑に手続きが進むよう、作成段階から弁護士に相談することをおすすめします。
みお綜合法律事務所では、遺言書作成講座や個別相談を無料で実施しています。
みおのまとめ
特に自筆で作成する場合は、署名・日付・押印など細かな要件を満たす必要があるため、公正証書遺言にしておくと安心です。
また、相続人には「遺留分」という最低限の取り分があり、これを無視した内容にすると争いのもとになります。
遺言書を作る際は、財産の全体像を整理し、誰に何をどのように渡すのかを明確にしておくことが大切です。