今回のテーマ
相続トラブル①
相続トラブルは決してお金持ちだけの問題ではありません。
令和3年の司法統計によると、遺産額5000万円以下の家庭裁判所への遺産分割調停が約76%を占め、1000万円以下でも約3割にのぼります。
特に不動産が中心となると、誰が住むか・誰が代償金を支払うかで争いが深刻化しやすくなります。
今回は、こうした少額の遺産でも起こりがちな遺産相続のポイントと解決策について紹介します。
-
澤田弁護士 今回は相続トラブルについてお話します。
相続トラブルといえばお金持ちの話とは限りません。
令和3年の司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割調停のうち、5000万円以下の遺産額のケースが全体の約76%を占めています。
1000万円以下の遺産額のケースも全体の約3割を占めており、相続争いは、少額の遺産でも発生しやすい傾向があります。 -
金額にかかわらず、トラブルになることは多いんですね。
ではどのような点で争いになるんでしょうか? -
澤田弁護士 遺産額が少額の場合、遺産は不動産が中心となることが多いです。
このため、不動産の分け方でトラブルが起こり、遺産分割調停に発展するケースが少なくありません。 -
何か具体的なケースはありますか?
-
澤田弁護士 例えば、お父さんが同居していた長男に不動産を相続させたいと生前言っていたが、遺言を残していない場合、そこに住んでいる相続人がその不動産全部を相続したい。特にどうすればいいか考えてみましょう。
他の相続人が遠慮して「どうぞ」といえば話は簡単ですが、他の相続人が法定相続分に相当する財産を欲しいと言ってきた場合どうするのが適切でしょうか?
不動産のほかに財産があれば、不動産は長男に、ほかの財産は他の相続人が取得すればいいですが、不動産しか相続財産がない場合は他の相続人に代償金といって、お金を支払う必要があります。 -
つまり相続する不動産の代わりになるお金を支払わないといけないということですね。
-
澤田弁護士 たとえば、相続人が3人で唯一の不動産に長男が住んでいるという場合、その不動産の価値が3000万円ならば、本来1000万円ずつ相続する権利がありますが、長男が不動産を全部取得したい場合は、別途1000万円ずつ他の兄弟にお金を用意して払う必要があります。
-
お金を用意できない場合はどうなるのでしょうか?
-
澤田弁護士 その場合には、売却するしかないことになります。
そのほかにもめる原因として、生前の財産管理をめぐって争いになることもあります。
生前に財産管理をしていた人がちゃんとお金の流れを記録していなかったり、使い込んでいるおそれがあったりという場合はもめますね。
通帳を何年も遡って取り寄せて、入出金をチェックして追及することになります。
こうなってくると泥沼になってきます。 -
聞いているだけで想像したくもないケースですね・・・。
-
澤田弁護士 そのほかにも収益物件がある場合にも管理の費用や収益の分配をめぐってもめます。
泥沼になりそうな相続トラブルは弁護士にご相談を。
法律の規定に沿って、事案を整理して、話し合いによる解決をリードします。
話し合いがつかなければ、家庭裁判所の調停、審判、裁判などの手続きを選びます。 -
みおでは気軽に相談できる機会を設けているんですよね?
-
澤田弁護士 「相続問題、ちょっと電話」で弁護士が10分間の相談にのります。
ぜひお気軽にお電話ください。
みおのまとめ
特に遺言がない場合、同居していた相続人に不動産を引き継がせたい意向が伝わっていても、他の相続人が法定相続分を主張すると代償金の支払いが必要となり、資金がない場合は売却へと追い込まれるケースがあります。
また、生前の財産管理記録が不十分だと、入出金を巡る争いが泥沼化しやすい点も解説しました。
こうしたトラブルは法律の専門家による事案整理と話し合い、あるいは家庭裁判所手続きへの移行で解決を図ることが肝要です。
少しでも不安を感じたら、まずは「みお綜合法律事務所」へご相談ください。