今回のテーマ
リスナーからのメッセージ〜債務整理について〜
銀行系クレジットカードの返済を延ばし続け、生活保護費まで借金返済に充ててしまう──そんな“自転車操業”に陥った家族からの相談メールをきっかけに、自己破産について解説します。
自己破産は戸籍や選挙権に影響せず、99万円以下の現金・預貯金や家具は守られること、法テラスを利用すれば費用負担なく手続きできる場合があることなどについて、わかりやすくお伝えします。
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まずはリスナーのマサヤさんからのメールを紹介します。
「私の弟は銀行系クレジットカードで支払いの先送りを繰り返し、約50万円の負債があります。
今では仕事をせず生活保護を受給しています。
本人に自己破産を勧めていますが、『借りたものは返さないとダメだ』と主張し、生活保護費で返済し足りない生活費を実家の母から借りるという自転車操業です。
家族で一度みおさんに相談したいです。」 -
澤田弁護士 そうですね、ぜひ一度お越しください。
今日はまず自己破産についてお話しします。
自己破産というと悪いイメージがありますが、このケースは負債が50万円と少額でも、生活保護を受けておられる方です。
生活保護費から借金を返すのは本来筋違いですし、法テラスを使えば弁護士費用が立替払い・償還不要となり、実質無料で自己破産できる場合があります。 -
自己破産と聞くと「人生が終わる」「選挙権がなくなる」「パスポートを取り上げられる」などの噂も耳にしますが・・・。
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澤田弁護士 すべて誤解です。
戸籍や住民票にも載りませんし、選挙権も失いません。
財産をすべて失うわけでもなく、家財道具や九九万円以下の現金・預貯金は手元に残せます。
多くの方は配るほどの財産がないので「同時廃止」という簡略手続きで終わります。 -
昔の映画のように赤紙を貼られて家財を全部持っていかれるわけではない、と。
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澤田弁護士 車もローンが終わった古いものなら問題ありませんし、家族の財産が差し押さえられることもありません。
賃貸住宅なら家賃を払い続けられる限り住み続けられます。 -
手続きのタイミングで注意すべき点はありますか?
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澤田弁護士 相続財産が入る前など、何も財産がないうちに手続きする方がスムーズです。
また最後のあがきでクレジットカードの現金化や闇金まがいの業者を利用すると、カード会社への詐欺行為となり手続きが複雑化します。 -
被害者のつもりが加害者になってしまうのですね。
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澤田弁護士 その通りです。
ただ浪費やギャンブルがあっても、誠実に手続きを進めれば最終的に免責決定で借金はゼロになります。
まずは弁護士に相談してください。 -
生活保護の方なら法テラス利用で弁護士費用が実質無料になる可能性がある。
生活保護でない方でも分割払いができるんですね。 -
澤田弁護士 はい。
お一人で抱え込まず、できるだけ早くご相談いただくことをおすすめします。
みおのまとめ
負債総額が少額でも、生活保護費を借金返済に充てるのは本末転倒です。
法テラスを利用すれば弁護士費用の立替え・償還不要で手続きできる場合があり、生活保護でない方も分割払いが可能です。
相続財産が入る前など財産が少ない時期に進めると手続きが円滑になり、クレジットカード現金化などの不適切な行為は避けるべきこともポイント。
借金問題は一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが重要です。