今回のテーマ
成年後見制度とは?
「最近、親の物忘れがひどくなってきた」「大切な預金通帳をどこに置いたか忘れてしまう」といった不安を感じたことはありませんか?
高齢化が進む中で、ご本人の判断能力が低下した際の財産管理や、悪質な詐欺被害への対応は、多くのご家族にとって切実な悩みです。
こうした状況で、本人の権利を守り、安心して生活を送るための法的支えとなるのが「成年後見制度」です。申立件数は年々増加傾向にあり、多くの方がこの制度を活用して大切な家族の生活を守っています。
今回は、成年後見制度の基本と、その中でも特に支援の範囲が広い「後見」について紹介します。
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澤田先生、今回はどんなテーマのお話でしょうか?
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澤田弁護士 「成年後見制度」についてお話しします。
成年後見制度とは、高齢化などで判断能力が大きく低下した方を法律的に守る制度で、申立ては年々増えています。
(※成年後見全体の申立件数は41,841件で増加傾向にあります) -
まず基本的なところですが、成年後見制度にはいくつか種類があるんですよね?
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澤田弁護士 大きく分けて3つあります。
判断能力がほとんどない場合の「後見」、著しく不十分な場合の「保佐」、やや不十分な場合の「補助」です。 -
今日は、その中でも「後見」がテーマということですね。
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澤田弁護士 そうです。「後見」は、この3つの中で最も支援の範囲が広い制度で、財産管理から身上保護まで幅広く対応しています。
近年も制度利用者は増加しており、令和6年末時点で25万人あまりが利用されています。 -
では、どんなときに「後見」が必要になるのか、具体的な例を教えてください。
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澤田弁護士 よくあるのが、認知症が進んで金銭管理が難しくなったケースです。
例えば、85歳の男性の方で、ATMの操作ができなくなったり、詐欺の電話に応じてしまったりして、生活費の管理ができなくなってしまったというご相談がありました。 -
それはご家族も心配になりますね。
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澤田弁護士 こうした場合、後見人が選ばれると、預金の管理や公共料金の支払い、施設の利用料の管理などを、まとめて引き受けることができます。
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ほかにも多いケースはありますか?
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澤田弁護士 介護施設への入所に伴う契約ができない、というケースも多いですね。
施設に入るには契約が必要ですが、ご本人がその内容を理解できないと、契約自体ができません。 -
その場合、後見人が代わりに契約をするんですね。
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澤田弁護士 そうです。後見人が本人の立場に立って、施設との契約や、入所後の医療・介護サービスの調整も行います。
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改めて、後見制度のメリットを教えてください。
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澤田弁護士 財産管理と身上保護、つまり生活面とお金の両方を守れる点が大きなメリットです。
実務では、弁護士や司法書士などの専門職が後見人になることも多く、実際の手続きに強いという安心感もあります。 -
一方で、注意点はありますか?
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澤田弁護士 後見は権限が広い分、本人の自己決定をどう尊重するかという点に配慮が必要です。
また、家庭裁判所の監督のもとで進む制度なので、「申し立てればすぐ始まる」というわけではありません。
(※ただし、令和6年の統計では審理期間の約72%が2か月以内と、比較的スピーディーに進行しています) -
実際に後見を始めるには、どんな流れになるんでしょうか?
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澤田弁護士 家庭裁判所に申立てを行い、医師の鑑定で「判断能力がほとんどない」と判断されると、後見開始が認められる可能性があります。
その後、家庭裁判所が後見人候補者の適格性を審査して、正式に後見事務が始まります。 -
思ったよりも、きちんとした手続きを踏むんですね。
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澤田弁護士 そうですね。その分、安心して利用できる制度だと思います。
生活や財産を守るための非常に重要な制度なので、ご家族だけで抱え込まず、少しでも不安を感じたら、早めに専門家へ相談していただくことが大切です。
みおのまとめ
専門職が後見人に選ばれることで、ご家族の負担を大幅に軽減できるだけでなく、家庭裁判所の監督の下で不適切な財産利用を防ぎ、安全にご本人の資産を守ることができます。「認知症の親がATMを操作できなくなった」「知らない間に不要な契約をしていないか心配」といった状況は、制度の利用を検討する大切なサインです。
みお綜合法律事務所では、成年後見の申立てからその後の運用まで、経験豊富な弁護士が親身にサポートいたします。まずは一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。