生命保険に関する法律
生命保険の契約や支払い申請などの各種手続きについては、いくつかの法律も深く関与してきます。その中から大切な3 点をご紹介いたします。
生命保険請求の時効は「3年」
「保険金は申請しない限り支払われない」ということは、何度もお話ししてきました。しかし、申請すればいつでも保険金が支払われるということではありません。生命保険金の場合、保険事故の発生から3 年が経過すると「時効」とされ、いくら請求しても支払われない可能性もありますので注意が必要です。
実際に時効が原因で不払いになっているケースも相当数あるようですから、保険事故が発生した場合はできるだけ速やかに、支払いの申請を行う必要があります。
消費者を不利益から保護する「消費者契約法」
生命保険の契約に際しては、一般の消費者と、保険や医療のプロである保険会社や保険外交員との間に、知識量や情報量、交渉力などの格差が存在しています。一般の消費者がいくら保険について勉強しても、保険会社のほうが圧倒的に優位な立場になりやすい状況です。
そのような状況において、消費者を保護するために設けられているのが消費者契約法です。事実とは異なる内容を伝えたり、誤解を生むような説明をしたりして、消費者が不利益を被る内容の契約を結んだ場合、消費者はその契約の申し込み、または、承諾の意思表示を取り消すことができるという法律です。この消費者契約法は、生命保険契約だけでなく、さまざまなサービスや商品なども対象としています。
保険契約に関する一般的なルールを定めた
「保険法」
当事務所で不払い問題として主に取り扱っている生命保険・火災保険は、保険法に規定されています。
保険契約者、被保険者および保険金受取人の保護のための規定が定められています。保険法の規定よりも保険契約者等に不利な内容の約款の定めは無効となります。
生命保険に関する団体
生命保険の安心感と信頼性を高めると同時に契約者の保護を目的として活動を続ける団体があります。
生命保険会社の業界団体「生命保険協会」
日本国内で生命保険に関する営業活動を行う、すべての生命保険会社が加盟し、「生命保険事業の健全な発達および信頼性の維持を図ることを目的とした事業(生命保険協会ホームページから)」を行う団体が、社団法人生命保険協会です。生命保険協会の歴史は長く、明治41年12 月に社団法人としての認可を受けて以来、生命保険会社の業界団体として、100 年以上にわたって活動を続けています。
生命保険に関する相談・苦情を受け付ける
「生命保険相談所」
生命保険の契約者をはじめとする一般消費者から、生命保険に関する相談・苦情などを受け付けるのが、生命保険相談所です。運営母体は、生命保険会社の業界団体である生命保険協会で全国に53 か所の連絡所が設置されています。生命保険相談所では解決できない問題については、生命保険会社に解決依頼や和解斡旋を行います。
それでも解決に至らない場合には、「裁定審査会」と呼ばれる機関を設け、問題解決に向けた裁定を下します。
生命保険に関する用語集
生命保険に関する基本的な専門用語を理解しておくことで、保険会社からの報告内容が理解しやすくなります。
- あ行
- 異動
- 生命保険に関する基本的な専門用語を理解しておくことで、保険会社からの報告内容が理解しやすくなります。
- か行
- 解約返戻金
- 保険を解約した際に変換されるお金のこと。
- 過失
- 不注意などが原因で生じた失敗により、ヒトやモノに損害を与えること。
- 給付金
- 被保険者が入院や手術をした場合などに、保険会社が支払うお金のこと。
- 契約応当日
- 保険期間中の契約費に対応する日のこと。
- 契約者配当金
- 保険会社の年度決算で生じた余剰金から、保険契約者に分配されるお金のこと。
- 契約転換
- 加入していた生命保険を解約し、その解約返戻金を使って、新たな生命保険に加入すること。
- 契約日
- 保険料の払い込みや満期日の基準となる、保険期間の起算日。
- 故意
- 人や物に対して、わざと損害を与えること。
- 告知義務
- 保険契約の申し込みに際し、保険会社からの質問事項について、ありのままに答える義務のこと。
- さ行
- 再調達価額
- 保険の目的(対象物)と同等のものを新たに建築や購入するために必要な金額。
- 時価
- 損害が生じた時点での保険の目的(対象物)の価格のこと。
- 重過失
- 不注意などが原因で生じた失敗のうち、不注意の度合いがとくに大きいもののこと。
- 全損
- 保険の目的(対象物)が完全に滅失した場合や、修理、回収に必要となる費用が時価額または再調達価額を超える場合のこと。
- た行
- 代位
- 損害保険で、被保険者害に対して保険金が支払われた際に、被保険者の利益を損なわない範囲で、被保険者の有するある種の権利が保険会社に移ること。
- 通知義務
- 保険契約後に契約内容に変更が生じた場合、保険契約者または被保険者が保険会社に連絡しなければならない義務のこと。
- は行
- 被保険者
- 保険の補償を受ける人または保険の対象となる人のこと。
- 保険価額
- 保険事故が発生した際に、被保険者が被る可能性がある損害の最高見積額のこと。
- 保険期間
- 保険事故が発生した際に、保険会社が保険金や給付金などの支払いを保証する期間のこと。
- 保険金
- 保険事故が発生した際に、保険会社が被保険者に支払うお金のこと。
- 保険金受取人
- 保険契約者から保険金の受け取りを指名されている人のこと。
- 保険契約者
- 保険会社と契約を結び、保険契約上の権利と義務をもつ人のこと。
- 保険の目的
- 保険契約の対象となる物のこと。
- 保険料
- 保険契約者が保険会社に対して、保障の対価として支払うお金のこと。
- 保険料払込期間
- 保険契約者が保険会社に対して、保険料を支払う期間のこと。
- ま行
- 満期日
- 保険期間が終了する日のこと。満期保険金等の支払いがある保険商品について用いられる。満了日は、満期保険金がない保険商品の保険期間終了日のこと。
- 満期返戻金
- 保険が満期を迎えた際に、保険会社から保険契約者に対して支払われるお金のこと。
- 免責
- 戦争、地震、噴火など、保険会社が保険金支払いの義務を免れることができる、保険契約上の事由のこと。
- 免責金額
- 一定金額以下の小さな損害について、保険契約者または被保険者が支払う自己負担額のこと。
- や行
- 約款
- 保険会社によって定められた、保険契約の内容に関する決まりごとのこと。
- 予定利率
- 保険会社が、保険料の運用によって得られる収益を見込んで、保険料を割り引く割引率のこと。
- ら行
- 料 率
- 保険料を設定する際の基準になる数値のこと。